カスタマーハラスメント防止措置キット
カスハラ研修の実施記録の書き方と様式
カスタマーハラスメント(以下「カスハラ」)の研修について、指針と厚生労働省のマニュアルが何と書いているかを原文で確かめ、研修を実施した事実を残すための印刷用様式を置いたページです。様式の利用は無料・登録不要です。
2026年10月1日 施行済み義務は発生しています
01
確認した厚生労働省のマニュアルに、研修の実施記録の様式はありません
厚生労働省の「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル(令和8年度改訂版)」には、研修を実施した事実を書き留めるための記入様式(実施記録・受講者名簿など)は収録されていません(当サイト確認・2026年9月)。
当サイトが確認した範囲
マニュアルの付録1「カスタマーハラスメント対策チェックシート」の「企業のチェックシート」には、「カスタマーハラスメントへの企業の方針・取組姿勢について、従業員に周知・啓発を行っているか。」「カスタマーハラスメントの内容を定め、従業員に周知しているか。」という確認項目があります。実施の有無を自己点検する項目であって、いつ・誰に・何を周知したかを書き留める欄はありません。付録2は参考情報源のリンク集です。
出典: 厚生労働省「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル(令和8年度改訂版)」(令和8年9月作成)原文(PDF) ↗
このページの様式は当サイトが作ったもので、行政が配布しているものではありません。
02
指針とマニュアルが研修について述べていること
引用はいずれも原文です。項番号と発行日、原文のPDFへのリンクを併記します。
指針(令和8年厚生労働省告示第51号)の4(1)は、カスハラに毅然と対応し労働者を保護する旨の方針の明確化と労働者への周知・啓発(指針4(1)イ)、カスハラの内容とあらかじめ定めた対処の内容の周知(指針4(1)ロ)を、「講じなければならない」措置として定めています。研修は、これらの措置を「講じていると認められる例」の一つとして挙げられています。研修そのものが独立した措置として書かれているわけではありません。
指針4(1)イ「事業主の方針等を明確化し、労働者に周知・啓発していると認められる例」の②
職場におけるカスタマーハラスメントには毅然とした態度で対応し、労働者を保護する旨の方針を労働者に対して周知・啓発するため、ロにおいて定める職場におけるカスタマーハラスメントへの対処の内容と併せて研修、講習等を実施すること。
指針4(1)ロ「対処の内容等を定め、労働者に周知していると認められる例」の③
職場におけるカスタマーハラスメントの内容及び職場におけるカスタマーハラスメントへの対処の内容を労働者に対して周知するための研修、講習等を実施すること。
出典: 指針(令和8年厚生労働省告示第51号)(令和8年2月26日)原文(PDF) ↗
研修の語は、このほか事業主の責務としての「研修の実施その他の必要な配慮」(指針3(1))、相談窓口の担当者への研修(指針4(2)ロの例③、4(5)イの例②)、再発防止に向けた研修の再実施(指針4(3)ハの例②)、望ましい取組としての商品・サービス理解や消費者心理・障害特性についての研修(指針6(1)イ・ロ)にも出てきます。いずれも例示、望ましい取組、または責務としての記載です。指針の全文に、研修の実施回数や頻度、受講の記録を残すことについての定めはありません(当サイト確認・2026年9月)。
マニュアルは、4.2.2の「社内対応ルールについての従業員への教育・研修」で次のように述べています。
マニュアル4.2.2「社内対応ルールについての従業員への教育・研修」
周知は、従業員へ研修等の形で行うことが考えられます。研修等については、全員が受講し、かつ定期的に実施することが重要です。中途入社の従業員やパート・アルバイト等にも入社時に研修や説明を行うなど、漏れなく全員が受講できるようにしましょう。
出典: 厚生労働省「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル(令和8年度改訂版)」(令和8年9月作成)原文(PDF) ↗
同じ節が挙げる「研修の内容例(コンテンツ)」には、カスハラの定義や判断例、類型別の対応方法のほかに「記録の作成方法」も含まれています。
読み方の注意
指針は研修を「認められる例」として、マニュアルは「考えられます」「重要です」という書き方をしています。研修の実施記録を備えることが独立した義務として書かれているわけではありません。一方で、方針の明確化と周知・啓発(指針4(1)イ)、カスハラの内容と対処の内容の周知(指針4(1)ロ)は「講じなければならない」と定められた措置であり、研修はその手段の一つです。
03
実施記録に残す項目と、指針の措置の対応
指針とマニュアルは、研修を全ての労働者への周知・啓発の手段として位置づけています。厚生労働省の解釈事項(問9とその更問)も、方針の周知・啓発は所属部署や雇用形態を問わず全ての労働者に対して行う必要があるとしています。
後から実施の事実を確かめるために残す価値があるのは、いつ実施したか(実施日)、何を使って何を伝えたか(研修名・講師・教材)、誰に行い誰が受けたか(対象者・受講者)、どれだけの時間をかけたか(所要時間)、理解が確認できたか(理解度確認の有無と結果)、次はいつ行うか(次回予定)、誰が記録したか(記録者)です。当サイトの研修キットは、このうち実施日・受講者・研修名・スコアを画面で保存し、CSVで書き出せます。
| 記録の欄 | 措置 | 根拠 |
|---|---|---|
| 実施日、研修名、講師・教材、対象者、受講者、所要時間 | ① カスハラに毅然と対応し労働者を保護する方針の明確化・周知・啓発 | 指針4(1)イ |
| 研修名、教材(対処の内容を含むか)、理解度確認の有無と結果 | ② カスハラの内容と「あらかじめ定めた対処の内容」の周知 | 指針4(1)ロ |
この表は、当サイトの必須10項目の定義にある措置と、様式の欄を並べたものです。新しい法解釈は加えていません。「次回予定」の欄は、マニュアル4.2.2の「定期的に実施することが重要です」を記録の側から追うための欄です。指針に頻度の定めはありません。
04
印刷用の研修実施記録様式
白紙のまま印刷して、研修の当日に手書きするための様式です。紙は研修1回につき1枚(研修単位)、画面の研修キットは受講者ごと(受講者単位)の記録です。講師・教材、対象者、所要時間、次回予定、記録者の5欄は紙だけの欄で、画面にはありません。実施日・研修名・受講者は画面と同じ項目名です。理解度確認の結果は画面の「スコア」に当たります。
画面の受講記録は、受講者が画面で理解度確認テストを受けて採点した時にだけ保存され、実施日には保存した当日が自動で入ります。紙で行った研修の記録を画面へ写す経路はありません。紙で行った研修は、この様式で残してください。
結果
有無と結果
対象者の欄は、顧客対応が発生しない部署の労働者も含めて記入してください。方針の周知・啓発は、所属部署や雇用形態を問わず全ての労働者に対して行う必要があるとされています(解釈事項 問9・更問)。
受講者の氏名を含む記録です。保管場所と閲覧・共有の範囲を決めたうえでお使いください。
キロクバン(kirokuban.jp) / この様式は当サイトが作成したもので、監修対象の文書には含まれません。
本ツールは措置義務への対応を支援するひな形・記録ツールです。義務の充足を法的に保証するものではありません。また、個別具体的な事案についての法律相談その他の専門家による個別判断に代わるものではありません。
05
画面で記録する・実施状況を点検する
従業員向けの短いスライドと理解度確認テストです。受講者ごとに受講記録を画面で保存し、CSVで書き出せます。スライドと理解度確認テスト、採点者用の解答ページを印刷して、紙で研修を行うこともできます。入力は端末内にのみ保存され、当社サーバーには送信されません。
指針の必須10項目に対する自社の実施状況を確かめます。未充足の項目からは、作成・記録の画面へそのまま進めます。
事案ごとの対応記録について、同じ作法で原文と様式を置いたページです。
06
よくある質問
回答は、一次資料の原文と当サイトの既存の文書に書いてあることだけで構成しています。そこから先の判断は書いていません。
顧客と接しない部署(経理・製造など)の従業員にも研修は必要ですか。
カスハラ防止指針2(3)においても、「労働者」について、「事業主が雇用する労働者の全てをいう。」としていることから、事業主の方針を周知・啓発するに当たっては、労働者の所属部署や雇用形態を問わず、全ての労働者に対して当該方針を周知・啓発する必要がある。
厚生労働省「ハラスメント防止措置義務規定等における解釈事項について」(令和8年4月24日)問9の答の第2段落。問9は「顧客対応が発生しない部署に所属している労働者に対しても、カスタマーハラスメントに関する方針の周知や研修の実施が必要なのか。」という問い。
あわせて問9の更問は、対処の内容の周知についても「労働者が社外の人と接する機会があるか否かを問わず、全ての労働者に対して周知する必要がある」としています。
研修は、指針4(1)イ・ロが周知・啓発の手段として挙げる例の一つです。周知の範囲について判断に迷う場合は、解釈事項の問9とその更問、指針2(3)の該当箇所を確認してください。
根拠: 解釈事項 問9・更問、指針2(3)、指針4(1)イ・ロ
研修は年に何回行えばよいですか。
研修等については、全員が受講し、かつ定期的に実施することが重要です。中途入社の従業員やパート・アルバイト等にも入社時に研修や説明を行うなど、漏れなく全員が受講できるようにしましょう。
厚生労働省「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル(令和8年度改訂版)」4.2.2「社内対応ルールについての従業員への教育・研修」。
指針(令和8年厚生労働省告示第51号)の全文に、研修の回数や頻度を定めた記載はありません(当サイト確認・2026年9月)。マニュアルは「定期的に」「入社時に」と書いていますが、具体的な回数は示していません。相談窓口の担当者については、マニュアル4.3.2が「相談窓口担当者には定期的に研修等を行うことが有効です」と述べています。
自社の頻度を決める際は、マニュアル4.2.2・4.3.2の該当箇所を確認してください。当サイトの様式に「次回予定」の欄を置いているのは、この「定期的に」を記録の側から追えるようにするためです。
根拠: マニュアル4.2.2・4.3.2(指針に頻度の定めなし)
業界団体が作ったマニュアルを配れば、方針や対処の内容を周知したことになりますか。
単に業界団体が作成した業種別マニュアルを配布するだけでは、カスハラ指針4(1)イやロの措置義務を果たしたことにはならない。一方で、業界団体が策定したマニュアルを参考に、自社の実情に応じた必要な調整を行い、カスタマーハラスメントに毅然とした態度で対応し、労働者を保護する旨の方針の明確化やカスタマーハラスメントへの対処の内容の策定を行い、それらを周知する場合については、カスハラ防止指針4(1)イやロの措置義務を果たしたことになる。
解釈事項 問21の更問「業界団体が作成した業種別マニュアルを労働者に配布したことをもって、カスタマーハラスメント防止指針4(1)イやロの措置を果たしたこととできるか。」の答。
同じ答は続けて、方針の明確化や対処の内容の周知を行う際に併せて業界団体のマニュアルを配布することは「効果的であると考えられる」としています。
当サイトの研修キットの印刷版スライドには「当社の相談窓口」の記入欄があり、対処の内容は規程ジェネレータで生成する規程の第4条(発生時の対処手順)・第7条(特に悪質な事案への対処)を参照する形になっています。自社の調整がこの答に当たるかどうかは、解釈事項 問21・更問と指針4(1)イ・ロの該当箇所を確認してください。
根拠: 解釈事項 問21・更問、指針4(1)イ・ロ
出典: 指針(令和8年厚生労働省告示第51号)(令和8年2月26日)原文(PDF) ↗
出典: 厚生労働省「ハラスメント防止措置義務規定等における解釈事項について」(令和8年4月24日)原文(PDF) ↗
ご利用にあたって
本ツールが生成する規程・方針・様式はひな形です。自社の実態に合わせて内容を確認・修正のうえご利用ください。個別の労務問題への対応・就業規則の変更など専門的判断が必要な場合は、社会保険労務士等の専門家にご相談ください。本ツールは義務の充足を法的に保証するものではありません。また、個別具体的な事案についての法律相談その他の専門家による個別判断に代わるものではありません。
このページは一次資料の引用と当サイトの既存文書の整理で、監修対象の文書(版1.3)には含まれません。